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執筆者の写真SENSUKE KURIYAMA

坂本勇人選手(巨人)2000本安打達成!歴代の安打記録をデータで確認

更新日:2023年6月24日


張本勲の3085本を超えられるか!?

プロ野球の安打数の分析結果を公開(2020シーズン終了時点)

 

■安打数に関する7つの疑問を調査!

シーズン直前にコロナ禍に見舞われたプロ野球の2020年シーズンも、開幕を6月に遅らせ試合数を120に減らして無事に終了しました。開幕前から坂本勇人の最年少2000本安打の記録更新が話題になっていたのですが、開幕が遅れたことによって惜しくも更新できなかったのが残念です。しかし、そんなことはさておいて、シーズンを通してヒットを打ち続けて見事な2000本安打達成でした。これを記念して、打撃成績の重要なメジャー「安打数」を分析してみました。


<7つの疑問>


※ 趣味がてらの独自調査なのでデータの正確性は保証できません。予めご了承ください。

※ 1936年から2020年までの記録となっています。

 

■分析の準備

とりあえず分析対象となるデータを集めました。

データ集めに関しては「日本プロ野球記録 http://2689web.com/index.html サイト様には大変お世話になりました。御礼申し上げます。サイトでは坂本勇人のページ のように個人の打撃記録が確認できるようになっています。




■「メジャー」と「軸」

<メジャー>

今回、分析の対象となる「メジャー」については安打数なので、sum関数で集計して

スターアイテムを作成しました。


<軸>

「軸」は、ざっと次のような感じです。

・When :年、年齢

・Who :氏名、現役区分

・Where :リーグ(NPB/MLB)


 

1.日本プロ野球(NPB)で通算安打数が多いのは誰?

誰が多いのか?ということで、シンプルに安打数のランキングを作成しました。

表でも良いですが「順序を見るビジュアライゼーション」ということで棒グラフにしました。日本プロ野球で2000本安打を達成した選手のみ絞り込んでいます。


1位は張本勲で唯一の3000本超えです。今も元気に「喝!」を入れまくるだけあります。

2位以下は野村克也、王貞治、門田博光、福本豊、衣笠祥雄、金本知憲までが2500本超えとなり、45歳まで現役を続けた野村や衣笠・金本の鉄人コンビと錚々たる顔ぶれ!


▼日本プロ野球2000本安打達成者


ついでに選手数のカウント

>Count(Distinct 選手ID)<も表示したので、1936年以降で2000本安打を達成者が54名というのも分かりました。


1位:張本勲(3,085)

2位:野村克也(2,901)

3位:王貞治(2,786)

4位:門田博光(2,566)

5位:福本豊(2,543)

5位:衣笠祥雄(2,543)

7位:金本知憲(2,539)

8位:立浪和義(2,480)

9位:長嶋茂雄(2,471)

10位:土井正博(2,452)






 

2.日米通算(NPB+MLB)だとどうなるか?

NPBのみで確認すると、あの選手の名前がないことに気づきました。そう、イチロー(鈴木一朗)です。というわけで、MLBも含めた通算記録で改めて確認すると、ぶっちぎりの1位に登場してきました。なんと張本勲を1300本以上上回る4,367本・・・。グラフを見ても明らかにレンジが違う驚愕の記録です。


さらにビッグネームを発見、松井稼頭央、松井秀喜のW松井です。また、フリオ・フランコ、ウイリー・デービスといったMLBのビッグネームや日本球界復帰組の青木宣親、福留孝介の名前も出てきました。納得のメンバーですね。

(※ ちなみに対象はNPBでプレーしたことのある選手の通算記録です。)





日米通算の2000本達成者は72名となりました。MLB経験のある上位者の顔ぶれは次のとおりです。


フリオ・フランコ(2,872)

ウイリー・デービス(2,798)

松井稼頭央(2,705)

松井秀喜(2,566)

青木宣親(2,478)

福留孝介(2,407)





 
ちなみに、私イチオシのQlik Senseの使い方をご紹介します。棒グラフのメモリをドラッグすることで「2000安打以上」というような絞込みができます。これは便利!直感的に情報を得ながら条件抽出ができてしまう・・・。



6948名の選手の中から、2000本安打以上の選手だけを一発抽出です。日米通算の一覧グラフなので、絞り込んだ結果は72名になっています。

(色付きは2020年時点の現役選手です)












 

3.2000本達成のペースは人によってどのくらい違うのか?

実に72名の2000本達成者がいるわけですが、人によって達成ペースが違う点に目をつけて分析しました。複数軸/1メジャー の折れ線グラフを使いました。


<メジャー>

「安打数」(累計で計算しています)

<軸>

「年齢」(年代の異なる選手を比較するために、共通の時系列軸として利用しました)

「氏名」


▼通算2500安打以上の選手の達成ペース(図はクリックで大きくなります)


イチローの異次元ぶりが圧倒的です。メジャーに移籍したのが28歳ですが、この年にいきなり242安打を放ち前年までの累計1,278本から1,520本まで伸ばしています。ここからの量産具合(折れ線の角度)がすごい。さすがに40歳頃からペースが鈍っているのが人並でなんだか安心しました。

あと特徴的なのは、金本知憲が実質26歳シーズンからのスタートで2,500本まで到達しています。他の選手が20歳前後からスタートしていることから見ると異例といえます。49歳まで記録を積み上げているフリオ・フランコはバットの先端を極端にピッチャーに向けた独特のフォームが印象に残っていますが、95年、98年にロッテに在籍し40歳を超えてからMLBへ戻って更に活躍を続けるという超人ぶりが伺えます。


 

4.坂本勇人はどのくらいまで通算安打記録を伸ばせるか?

達成ペースについては、やはり最年少記録で話題になった坂本勇人が気になります。現在32歳で2003本なので、これからどこまで伸びるかはとても楽しみです。

ここでは、先のグラフの条件を変えて日本記録の張本勲と日米通算記録のイチローと比較することで最終の到達点を想像してみます。


▼累計安打数の推移(イチロー、張本、坂本)

20歳シーズン時点では、張本231本に対して、坂本135本、イチロー36本と、それぞれ100本程ずつ離れています。これが26歳シーズンにイチロー1,125本、張本1,125本、坂本1,105本とほぼ全員並びます。


その後、イチローはMLB移籍とともに一気にペースが上がります。MLBの年間試合数の多いことが関係しているとはいえです。一方、坂本は張本とほぼ同じペースで推移しながら少し上回ってきています。コロナ影響下の2020年シーズンで坂本がペースを落としましたが、この傾向を見ると40歳まで頑張れば、3,000本安打は見えてきそうです!


また、年別の安打数を見ると坂本は張本をわずかながら上回っている年が多いので今年の下降は残念です。加えて、1試合当たりの安打数を見ても張本と坂本はほぼ同じような推移となっています。


▼年齢別の年間安打数の推移(イチロー、張本、坂本)

▼1試合あたりの安打数の推移(イチロー、張本、坂本)


 

5.松井稼頭央がメジャーに行かなかったらどうだったろう?

今後に期待の坂本と同じように張本の記録を狙えていた選手はいないのか?という視点で、MLB移籍組の中からイチローの次点にいるW松井に絞ってみました。


▼累計安打数の推移(張本、坂本、松井秀喜、松井稼頭央)

松井稼頭央はスタートが1年遅れているにも関わらず、その後の安打数は他3名を大きく上回りかなりのハイペースで記録を積み上げています。28歳シーズンには松井稼頭央1,433本、坂本1,402本、松井秀喜1390本、張本1,386本と頭一つ抜け出しかけています。が、29歳(下図グラフの黄色マーカー)でMLBへ移籍し、直後のシーズンはペースを保つものの次シーズンから急激にペースを落としてしまいました。その後はシーズン100本ほどに留まり、36歳シーズンにNPB(楽天)へ復帰しています。ずっとNPBでやってくれていたら、もしかすると3,000本いけたかもと思ってしまいます。


松井秀喜も松井稼頭央と同じく29歳でMLBへ移籍しています。こちらは移籍後も3シーズンはペースを上げてますが、悪夢の4年目シーズンに浅いレフトフライで左手首をケガしてしまい、出場51試合で52安打と大きく落としてしまいました。当時、このケガの映像が日本のニュースでも何度も取り上げられたのでとても印象に残っています。「このケガがなければ・・・」というのは多くの人が思っていることでしょう。


最後にイチローと松井稼頭央の推移を比較してみました。MLB移籍以降の成績にハッキリと明暗が出たといえるでしょう。(MLB移籍年齢:イチロー28歳、松井稼頭央29歳)


▼累計安打数の推移(イチロー、松井稼頭央)


▼年齢別の安打数の推移(イチロー、松井稼頭央)


 

6.1シーズンの安打数の記録上位の顔ぶれは?

ここまで累計安打数で2000本以上の選手を見てきましたが、1シーズンでの最多安打という点ではどうでしょうか。これから2000本を目指そうとする現役選手も入ってくるのですが、どんな顔ぶれか一覧リストで見てみました。


▼1シーズンの安打数上位


2015年の秋山翔吾が216本、2010年のマートンが214本、1994年のイチローが210本と上位3名で、2010年の青木宣親209本、西岡剛206本、2007年のラミレス204本、2005年の青木宣親202本までがシーズン200本以上となっています。

うーん、みんなMLBへ行ってますね。日本人選手がMLBへ挑戦するのはうれしい反面で、NPBでやり続けてほしいなと思う気持ちはやっぱり大きいです。

 

7.現役若手の有望株は??

最後に現役選手の中から坂本勇人の後を追えるような若手を探してみます。ここまで使用してきたグラフを[現役]のみにフィルタをかけ、通算安打ペースも25歳時点までのデータに絞り込んで調べます。


現役選手の25歳時点の通算安打上位は、坂本勇人953本、山田哲人762本、西川遥輝694本、森友哉684本、鈴木誠也678本となっています。さすがに坂本が大きく抜け出していることが分かります。右の折れ線グラフを見てもその差は歴然です。しかし、一人だけ坂本のペースを更に上回っている線があります。この線は20歳までしかないので、現在20歳の若手ですが誰か分かりますか??


他にいくつかの気になる線と合わせてフォーカスしてみたところ、ヤクルトの村上宗隆でした!19歳シーズンからスタートを切れたことで、坂本よりも1年早いペースで記録を積み上げ始めています。また、森友哉も坂本を上回るペースでスタートしてますが21歳シーズンで大きくペースが落ちてしまいました。もう一人、山田哲人は22歳、23歳シーズンに年間安打数で坂本を上回っており、さすが3度のトリプルスリーといったところです。



▼現役選手25歳時点の通算安打ペース&年別安打数(坂本、山田哲人、森友哉、村上宗隆)



 

今回の安打数の分析はここまでです。


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